Inspiration
一色先生
だから、今や新しいミュージシャンやカルチャーというものは、彼女たちにとって一種の投機なわけですよ。いかに早く、雑誌やTVで話題になる前に誰も知らないお洒落なものにつばを付けるかという点に彼女たちは最大の労力を割いているんであって、決して対象にのめりこんでいるんじゃない。そういう新しいものを見つけた自分というものが中心にある。映画や音楽のプロモーターをやっている連中に聞くと、まだほとんど紹介されていないような、海外のマイナーな歌手や俳優を連れてくると真っ先にやってくるのはそういう新しいもの好きの女の子たちなんだそうです。
「三月は深き紅の淵を」 恩田 陸 作